今回は2013年に公開されたホラー映画『グリーン・インフェルノ』です。
直訳すると「緑の地獄」。
1980年の映画「食人族」のリメイクです。
監督は「ホステル」「アフターショック」など、肉体のみならず精神をも追いつめていく作風で世界中のホラーファンに愛されているイーライ・ロス。
俳優、脚本家など多岐にわたり活動しており、アフターショックでは主演を務めています。
クエンティン・タランティーノと仲良しのイーライ。
「デスプルーフ」「イングロリアスバスターズ」など多くの傑作に出演しています。
生粋のホラーマニアでもあるイーライはジャパニーズホラーにも精通しており、監督作「ホステル」には三池崇史を俳優として起用して敬意を表しています。
ちなみに奥さんのロレンツァ・イッツォのことが大好きで、本作では主役に起用しています。
散々酷い目に遭わされるロレンツァですが、ホラー映画の中では愛情の裏返しといったところでしょう・・・。
世界中のホラーファンに愛されるイーライ作品。
では早速『グリーン・インフェルノ』について解説してまいります。
『グリーン・インフェルノ』あらすじ
真面目な大学生のジャスティンは、環境保全に関心があります。
環境問題について考えるサークルに勧誘され、所属することに。
ペルーにある未開のジャングルでとある会社が、未だに謎が多く希少な存在である原住民、ヤハ族を虐殺する予定と聞き、保護活動のため現地に向かうことになりました。
その活動の途中でなんと、ジャスティンたちを乗せたセスナが墜落してしまいます。
堕ちた場所はヤハ族の住む村の中。
ジャスティンたちはなんとか一命をとりとめたものの、なんとヤハ族には食人の文化があったのでした・・。
環境保全の名のもとに
ジャスティンはたまたま受けた講義で、アフリカの一部の地域ではいまだに女性に対して陰核切除の儀式が行なわれていると知ります。
女の子が生まれるとガラスで陰核を切除し、縫われて足を縛られ放置される。
”一人前の女性であることを認めるための儀式”という名のもとに、そんな野蛮な手術を毎年200万人以上の人に施していると知ってショックを受けました。
ちょうどその日、ジャスティンはジョナという男性にサークルに勧誘されます。
そのサークルはアレハンドロという男性が率いる、弱者の人権問題に取り組むサークルでした。
ジャスティンが参加した会議では、ペルーにある未開のジャングルにとある会社が目をつけ、開拓のために原住民たちを虐殺している問題について語られます。
アレハンドロは、原住民であるヤハ族が殺される様子を撮影し、その動画を流して開拓を妨害しようとしていました。
ジャスティンはいたく感銘を受け、活動に参加することにしました。
ジャスティン、ジョナ、アレハンドロ、カラ、ラーズ、ダニエル、エイミー、サマンサ、カルロスたち全13人は、セスナや船、はたまたバイクを駆使して現地に乗り込みます。
現地ではツナギを着た作業員が、ブルドーザーで森を切り崩していました。
ジャスティンらは同じツナギを着てそこに紛れこみます。
自分たちの身体を木にくくりつけ、スマホで中継を始めました。
しかしアレハンドロの策略により、ジャスティンの身体を縛る鎖だけが不良品にされていました。
アレハンドロを中心に「ヤハ族の故郷を壊すな」と叫びます。
生中継をされているので軍人たちも手を出せません。
上手く鎖を結べないジャスティンがもたもたしていると、軍人に捕まり携帯を壊され、銃口を向けられました。
その時ジョナが「その子は国連職員の娘だ」と叫びます。
アレハンドロたちはジャスティンの出自を知り、それを利用するつもりで純粋なジャスティンを騙して仲間に引き込んだのでした。
アレハンドロたちの策略通り、無事動画を撮りきったうえに解放され、工事も中止されました。
動画サイトではランキングトップになっています。
帰りのセスナ機内でアレハンドロたちが成功に酔いしれていたその時、急に機体が発火し墜落してしまいました。
この事故で操縦士を含む6人が命を落とします。
ジャスティン、アレハンドロ、カラ、ジョナ、ラーズ、ダニエル、サマンサ、エイミーの8人が生き残り、機体は爆発してしまいました。
その時、カラが現地人を見つけて呼びかけます。
するといきなりカラは矢を放たれ、首を切断されました。
残りの7人は麻酔の吹き矢を吹かれ気絶します。
目覚めたジャスティンは、手を拘束されて舟で移動しているのに気づきました。
舟にはボディペインティングが施された男性が乗っています。
岸辺に着くと、部族たちはみな全身を赤く塗っていました。
岸辺には腐った人間が飾られていました。
食人集落
部族の集落に連れられた7人に、酋長の老婆が近寄りました。
老婆の指示で檻に入れられる6人。
残されたジョナは台の上に乗せられ、男たちに取り押さえられます。
すると老婆がジョナの両目と舌を切り取って食べました。
なんとヤハ族は食人族だったのです。
その後に男がジョナの四肢を斧で切断し、老婆が首を切断して天に掲げると、一族は雄叫びを挙げました。
ジョナの身体は余すところなく調理されます。
血抜きをして塩をもみこむと、胴体は窯に入れ、煙であぶって燻製にします。
焼きあがると、ヤハ族の者たちは肉を削ぎながら皆で分けて食べました。
一族が住むオープンエアな集落の真ん中にある檻に入れられた6人。
トイレの概念すら無い環境に6人の精神が削がれていきます。
そんな中アレハンドロが工事は中止でなく延期されただけだと白状します。
実はこの企画にはスポンサーが存在し、ライバル会社から工事を妨害しろと言われており、そのためのPRでした。
いずれ工事は再開されるという、金の亡者アレハンドロに他のメンバーは軽蔑の目を向けます。
翌朝、檻の外からジャスティンをじっと見る少年がいました。
ジャスティンが笛のついたネックレスを見せ吹いてみせると、少年は興味深々です。
その時、村の男たちによってジャスティン、サマンサ、エイミーの女性3人が檻の外へ連れ出されました。
女性ばかりが集まる場所に連れて行かれ、服を脱がされます。
怯える3人。
老婆が牙で、3人の陰核に印をつけました。
ジャスティンはさらに全身を白く塗られ、ところどころに赤い丸いマークを描かれます。
一方その頃、檻のなかでは俊足のサマンサが走って助けを呼びに行くと言い出しました。
隙をみてサマンサが檻の隙間から走り出てから数時間。
子供たちがアレハンドロたちに食料を運んできました。
タレに漬けられた何かの肉を空腹に耐えきれずに食べ終わった頃、エイミーは皿の上の模様に気付きます。
それがサマンサのタトゥーだと気づいたエイミーは、恋人を食べたショックから首をかっ切って自殺しました。
脱出作戦
いよいよ切羽詰まったラーズが、死んだエイミーの口にマリファナを詰め込みます。
ヤハ族がエイミーを調理する際に、煙を吸い込んでハイにさせた後に逃げる狙いでした。
ヤハ族はラーズの予想通りにハイになりました。
見張りが眠っている隙にジャスティンとダニエルが檻を出ます。
ラーズも出ようとしますが、臆病者のアレハンドロが脇腹を刺し人質にしました。
後に気絶から目覚めたラーズは檻を抜け出しますが、マリファナを吸い時間経過によって腹ペコになっていたヤハ族に捕まり、生きたまま食べられました。
ジャスティンとダニエルは河岸までたどり着き、スマホを手に入れたところで麻酔の吹き矢を吹かれて気を失ってしまいました。
気がつくと、ジャスティンはまた白塗りにされて縛られています。
ダニエルは棒に縛られ、手足の骨を折られて、全身に甘い汁を塗られました。
ダニエルに無数の蟻がたかり、蟻攻めのあまりの苦しさに耐え切れずに死んでしまいました。
『グリーン・インフェルノ』の結末
森林伐採工事が再開されたことを知ったヤハ族は戦いに出かけました。
混乱に乗じて、先日笛を吹いてみせた少年が、ジャスティンの縄を外してくれます。
逃げるジャスティンにアレハンドロが助けを求めますが、ジャスティンは無視。
ヤハ族と作業員の戦いの場に出たジャスティンは、英語で「私はアメリカ人!撃たないで!」と叫び、やっとのことで助かりました。
後日、聴取の場でジャスティンは事故で全員が墜落死した、原住民は皆優しく、親切にしてくれたと嘘を言います。
ヤハ族の食人の習慣についても、知らないと言い張るジャスティン。
その頃衛星画像には、森の中で全身を黒く塗ったアレハンドロらしき姿が映るのでした。
爽快食人エンターテインメント
俗に言う”意識高い系”の人たちが次々と食われていくさまに胸がすく本作、イーライ作品の特徴のひとつ、インターネット機器を登場させることによって近代化され、リメイクは大成功しています。
未知の異文化を是非お楽しみください。
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